結論:下請けと並行して、エンド営業は最初から始める
「エンド案件と下請け案件、どちらがおすすめですか?」——よく聞かれる質問です。
私の答えは「両方やるべき。ただし順番がある」です。
具体的にはこうです。
駆け出し期:下請け案件で経験を積みながら、エンド営業も並行して始める
↓
慣れてきたら:エンド案件の比率を上げていく
↓
最終的に:エンド案件を安定させる
重要なのは、エンド営業を後回しにしないことです。エンド案件は営業してすぐに受注できるものではなく、種を撒いてから芽が出るまでに時間がかかります。「下請けが安定してからエンド営業を始めよう」と考えていると、気づけば何ヶ月も経っています。
下請けで経験と収入の土台を作りながら、エンド営業の種も最初から撒き続ける——この並行作業が理想的な進め方です。
なぜそう言えるのか。エンドと下請け、それぞれのメリット・デメリットを整理すると見えてきます。
エンド案件のメリット3つ
メリット① 単価が高い
エンド案件の最大の魅力は単価です。下請け案件の2〜3倍、場合によってはそれ以上の単価で受注できます。何より自分で単価を決められることが大きいです。営業・打ち合わせ・ディレクションなど、制作以外の工数も含めて価格設定できるので、適切な報酬をもらいやすい構造になっています。
メリット② 保守・月額費用をいただける
サイト完成後の保守契約を取れれば、毎月固定の収入が入ってきます。案件が途切れた月でも収入が安定するので、フリーランスとして非常に重要な収益源になります。
メリット③ 技術的な高度な要求が少なめ
エンドクライアントはWebの専門家ではないため、技術的に無理難題を言われることがほとんどありません。駆け出しの段階でも、今の自分のスキルの範囲内で対応できることが多いです。
エンド案件のデメリット3つ
デメリット① 技術的に成長しにくい
高度な要求がない分、今の自分のスキルの範囲内での提案になりがちです。技術的な成長の機会が少なく、気づかないうちにトレンドから遅れてしまうリスクがあります。
ただし2026年現在、このデメリットはClaude CodeやOpenAI Codexのようなエージェント型AIによってある程度補完できるようになっています。実装方法が分からなくてもAIに相談しながら進められる場面が増えており、以前ほど「成長機会が少ない=技術が停滞する」という構図は成立しにくくなっています。
デメリット② 単発になりがち
よほど大きな企業でない限り、同じクライアントからサイト制作の継続案件をいただける可能性は低いです。毎回新規の営業が必要になるため、収入が安定しにくい時期が続きます。
デメリット③ 全責任を一人で負う
営業・ヒアリング・ディレクション・制作・納品まで、すべての工程を一人でこなすことになります。やりがいは大きいですが、何かトラブルがあったときの責任もすべて自分に帰ってきます。慣れないうちはプレッシャーが大きいです。

下請け案件のメリット3つ
メリット① 技術的に成長できる
制作会社からの案件は、自分では選ばないような技術的チャレンジが求められることがあります。「できないけどやらざるをえない」状況が問題解決力を鍛えます。また作業スピードの効率化も必須になるため、実力が急速に伸びる時期になります。
メリット② Web系のネットワークができる
チームで仕事をすることで、同じ業界の仲間ができます。困ったときに頼れる存在と出会えることもあります。将来エンド営業を進める際にも、このネットワークが生きてきます。
メリット③ 継続案件の可能性が高い
制作会社にはWeb制作の仕事が継続的に舞い込みます。一度信頼関係を築けば、継続して案件をいただける可能性が高く、収入が安定しやすいです。
下請け案件のデメリット3つ
デメリット① 単価が低い
正直に言います。駆け出し期の下請け案件の単価は非常に低いです。「これでどうやって食べていくの?」と感じるレベルです。単価を上げるには経験と実績が必要で、すぐには改善できません。
デメリット② ライバルが多い
制作会社には多くのフリーランサーが営業をかけています。信頼関係が薄れると簡単に他の人に乗り換えられてしまいます。継続して選ばれ続けるための努力が必要です。
デメリット③ スケジュールがタイトになりやすく、今後さらに厳しくなる
コーディング作業は制作フロー全体の後半に位置します。エンドクライアントとの確認・修正に時間を取られた分が自分の作業時間を圧迫するため、スケジュールがタイトになりがちです。
さらに2026年現在、このデメリットは深刻さを増しています。AIによるバイブコーディング(AIに指示するだけでコードを生成する手法)の台頭により、制作会社がフリーランスのコーダーに外注する案件数が減りつつあります。 案件数が減れば競争は激しくなり、スケジュールもよりタイトになります。下請け案件に特化した働き方だけで安定した収入を確保し続けることは、今後ますます困難になっていくと考えておくべきです。
私が考える「下請け→エンド」移行ステップ
メリット・デメリットを踏まえると、現実的な進め方はこうなります。
駆け出し期:下請けで経験を積みながら、エンド営業も並行して始める
単価が低くても、下請け案件で技術力・業務管理能力・人脈を築くことが最優先です。制作会社と仕事をすることで、業界の標準的な進め方やクライアントとのやりとりの作法も身につきます。ただしこの時期からエンド営業の種撒きも並行して行うことが重要です。知人への声がけ・名刺配り・Xでの発信——これらはすぐに受注につながらなくても、今すぐ始めるべきことです。
慣れてきたら:エンド案件の比率を上げていく
下請けでの経験が積まれ、エンド営業の成果が出始めたら、エンド案件の比率を意識的に上げていきます。エンド案件が1件でも取れたら、保守契約も提案しましょう。月額の固定収入が積み重なると、収入の安定感が一気に変わります。
最終的に:エンド案件を安定させる
AIの普及により、下請け市場は今後縮小していく可能性が高いです。できる限り早めに経験を積み、エンドクライアントとの直接取引を安定させることが、長くフリーランスとして働き続けるための現実的な戦略です。

エンドクライアントと仕事を進める際に知っておくべきこと
エンド案件を受注した後、実際にクライアントと制作を進める段階で知っておくべきことがあります。レスが遅い・素材が届かない・なかなか確認してもらえない——こうした「あるある」をどう防ぐか、具体的な対策を次の記事でまとめています。
👉 【関連記事】ホームページ制作をスムーズに進めるためにクライアント側で準備してほしい5つのこと
まず初案件の獲り方から知りたい方はこちら
「そもそもどうやって最初の案件を獲ればいいか」という方は、先にこちらをお読みください。
👉 【関連記事】Web制作フリーランスが初案件を獲得するまでにやったこと【実体験まとめ】
まとめ:エンドと下請け、両方を今すぐ始めよう
最後に要点を整理します。
- 下請け案件は駆け出し期の技術成長・収入安定に有効。ただし2026年現在、AI普及の影響で案件数は減りつつある
- エンド案件は単価・保守収益・長期的な安定という面で優れている
- エンド営業は後回しにしない。受注まで時間がかかるため、学習中から種を撒き始めることが重要
下請けで経験を積むことと、エンド営業を始めることは矛盾しません。両方を今すぐ並行して動かすことが、フリーランスとして長く生き残るための最短ルートです。